魚 | SST'S フィールドスケッチ
アカザ
あたしって可愛い?
この魚を見て"アカザ"という名前がすぐに思い浮かぶ人は、そう多くないと思います。

アカザは成長しても15cm程度の、とても可愛らしいナマズの仲間です。
比較的きれいな水を好みますが、棲息の中心は渓流域の少し下流あたり。したがって、渓流釣りでアカザに出会うことはまずありません。
おまけに完全夜行性の魚ですから、日中は石裏などにじっと隠れたままです。
日向ぼっこにのこのこ出てくるような魚ではないのですね。

このように、生活のすべてが人の目に付きづらい領域にあるため、分布域が広い割りには存在感が希薄なのだと思います。

アカザはそれほど繁殖力の強い魚ではなく、汚染されやすい流域に棲む底生魚のため、環境変化の影響を受けやすいことが想像できます。そんな面から、環境指標生物としても重要な役割を持っているとといえるでしょう。
群馬県の淡水魚類レッドデータリストでは絶滅危惧粁爐忙慊蠅気譟国の評価も同様です。

昼間は眠てぇのさ……
先日、"群馬県水産試験場"へお邪魔したとき、たまたま前日の調査で捕獲された個体がいて、35年ぶりくらいにアカザと対面しました。
アカザの生態は未だに不明な点が多いだけでなく、国内各地の系群や他の国の近縁種との関係など、進化の歴史や遺伝子分析の研究材料としても、たいへん興味深いものがあるようです。


子供の頃、夏休みになると、父親の生家のある赤城山南面の田園地帯へよく遊びに行きました。
近所の小川や溜池には、さまざまな種類の魚がいて、朝から晩まで魚捕りに没頭する日々を過ごしたものです。

そんな中、川床に大き目の石が多くなる水源地付近まで行くと、アカザが棲んでいました。平野部の外れにある小さな流れなので、そこにはアユや渓流魚の姿はなく、水源付近を支配していたのは、アブラハヤやホトケドジョウでした。

アカザには背ビレと胸鰭に毒を持つ棘があって、これに刺されると強烈な痛みが走ります。
そのため長野県あたりでは、"サソリ"とか"サスリ"と呼ぶ地域があるそうです。

毒や棘のことは従兄弟たちに教わりましたが、私自身は掌に乗せて遊んでも刺されたことは1度もなく、意外に硬いヒゲの感触だけが鮮明に残っています。

真夏の太陽の下、麦藁帽子が外れないように、顎のところで紐で縛って走り回っていた夏休み。
捕っても捕っても、湧いてくるようにたくさんいた大小様々な種類の魚たち……。

ブリキのバケツの中で、ピチピチ暴れる魚たちを見ながら、次第にその魅力に取り憑かれていった少年時代の思い出です。

若 鮎
若鮎たち!
初々しく元気の良い様子を表現するとき、"若鮎"という言葉がよく使われます。
確かに若いアユたちの動きを見ていると、まるで疲れを知らないかのように溌剌として、躍動感と生命感に溢れています。

写真は"群馬県水産試験場"で飼育されているアユの稚魚です。

以前、『私は誰でしょう……? その1.』というエントリーで、深海魚(?)のような容姿の稚アユを紹介しました。
それから少し成長して、4cm前後のサイズに育ったのが今回の魚ですが、元気の良さにはますます磨きがかっています。

あと1ヶ月ほどで、この子たちの仲間が川に放たれる季節の到来です。
河川に放流され、自然界の中でグングン成長していく過程は、まさに"若鮎"と呼ぶにふさわしい活力が漲っています。

近年、冷水病やカワウによる食害で、アユの成長や生活に障害が発生しやすくなり、アユ釣りさえままならない河川が増えています。
アユは"群馬県の魚"でもあり、群馬の川になくてはならない存在です。そして漁協の運営や活動にも、大切な役割を果たしています。

群馬県水産試験場では、1970年から国内数ヶ所の天然アユを組み合わせ、釣り味に優れた独自のアユを生産してきました。
けれども、30年以上も継代飼育を重ねていると家畜化が進行して、遺伝的多様性に乏しくなり、本来のアユらしさが損なわれてしまいます。

幸いにして利根川には、海から遡上する海産遡上系の天然アユが存在しています。
(以下、平成18年度 水産分科会資料『6 よりよいアユ放流種苗を目指して』から引用)
海産遡上系天然アユの長所は……
○冷水病に対する耐性が高い
○移動・分散能力が高い
○姿・形が良く再生産に寄与できる
○漁期が長い

それに対して短所は……
●産卵時期が遅く、早期放流が難しい
●成長や飼料効率が悪い
●野性味が強く飼育しづらい

つまり、魚としてはすべての点で海産アユが優れているが、人間の都合的にはまずいこともある……ということでしょうか。

そこで、継代飼育してきたアユと、利根川の天然アユを組み合わせることで、あらゆる面で優秀なアユ種苗を作ろうとしているわけです。

思惑通りに行くかどうかは今後の研究次第ですが、価値ある成果が出ることを期待したいものです。

ジュズカケハゼ
ジュズカケハゼ♀抱卵中?
群馬県内唯一のヤリタナゴの棲息地は、住宅地と田園地帯の間を流れる小さな用水路です。
けっして恵まれた環境とはいえませんが、地域の皆さんに愛され、守られてきたおかげで、今もその生命をつなぎ止めています。

そんなヤリタナゴの棲む水路に同居する、もうひとつの希少な魚……それが"ジュズカケハゼ"の仲間の一種です。

ジュズカケハゼは群馬県の淡水魚レッドデータリストで『絶滅危惧砧燹戮防床舛気譟国の評価でも地域個体群(LP:地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの)と認識されています。

地域によってはそれほど珍しくない魚のようですが、この用水に棲むジュズカケハゼの個体群は、地理的な孤立の度合いが高そうです。
そういう意味では、詳細な生態調査を行なう価値があるかもしれません。

Gobys Green Eyeハゼの仲間の多くは、黒い瞳に重なるグリーンの色素(色膜?)があり、光線の角度によってそれが神秘的に輝きます。
ジュズカケハゼもまた然りで、この特徴には思わずドキッとすることがあります。


こんな小さな用水路で、ジュズカケハゼはいったいどんな役割を担い、他の生物たちとどんなふうに関わって生きているのでしょう?

水路の行き先は、いつもそんな想像すらつかない世界へと繋がっているようです。

カジカ
ビューティーペア
"カジカ"ほど愛嬌のある魚はめったにいません。

子供の頃から良い遊び相手で、長い間飼育していたこともありますが、その表情や行動は何時間見ていても飽きることがありません。

一見すると不細工ですが、海水生活する近縁種もいるくらいですから、淡水魚らしからぬ艶やかな色素を持っています。
細かな金粉をまぶした胸ビレなど、うっとりするくらいゴージャスですね。
鱗のない肌の質感も独特ですし、カジカはとても個性的な魚なのです。

しかし、カジカを取り巻く自然環境は、悪化の一途を辿っています。

地方へ出かけて、その地域の魚の話題になったとき、一番よく耳にするのが,
「最近、カジカが少なくなった……」というお話し。

渓流域に生息する肉食性の底生魚類であるカジカは、川床の状態にとても敏感ですから、河川環境の変化を推し量る際にたいへん重要な役割をします。
なぜならカジカの減少は河川環境の悪化と直結し、カジカの増加は河川環境の改善に直接結びつくからです。

渓流魚のように養殖技術が確立され、大量生産が可能ならば、どんなに汚く荒れた川でも放流事業によって一時的に資源量をごまかすことができます。

もちろんカジカも養殖は可能で、食味も優れていますが、渓流魚と比較できるような生産量はなく、まだまだ需要も少ないのが現実です。

器量良し
箱島養鱒センターで飼育されているカジカは、気の遠くなるような時間を吾妻地方の山岳渓流で過ごしてきた小集団の末裔です。

地味に地道に生きてきた生き物たちは、やはりそれなりの力を授かっているだけでなく、多くの知られざる情報を持っているはずです。
系統保存や養殖技術の発展も大切ですが、カジカたちの未来を見据えた研究をぜひ進めて欲しいものです。

故郷の自然渓流では、これから春にかけて産卵期を迎えます。
雪に埋もれる静かな渓流で、カジカたちは懸命にその命を燃やすことでしょう。

アユ
♀大鮎
せっかくですので"アユ"の成魚についてもご紹介しておきましょう。
前回、前々回にエントリーした稚魚の時代から、たった半年余りでここまで成長するためか、幼い頃の面影はすっかり失せているようです。

アユは漢字で書くと"鮎"ですが、"香魚"と呼ばれたり"年魚"と呼ばれることもあります。

鮎という漢字のつくりに"占"が使われているのは、神功皇后の朝鮮半島出兵のとき(年代については200年代から300年代と、諸説あるようですが)、アユの釣果によって征討の成否を占ったからといわれています。万葉の時代からの言い伝えだけに脚色がありそうですが、それだけ古い時代から親しまれてきたということの証にはなりそうです。
奈良時代の頃になると、アユの漁獲高で五穀豊穣や戦の結果を占ったそうです。
しかし、友釣りが成り立つほど極端になわばり意識の強い魚であることから、占有とか独占を意味する"占"が充てられた……という通説の方が適当なような気がします。

アユにはスイカやキュウリのような、独特の青臭い香りがあります。
それが香魚たる所以なのですが、生息環境や食べている珪藻の質によって、香りはずいぶん違うようです。やはり生息に適した環境で、水質の良い川のアユが香りや味も良いのではないでしょうか。
ちなみに成魚まで養魚場で育てられたされたアユには、珪藻を食んで暮らす野生魚のような香りはありません。

アユの寿命は原則的にたった1年です。年魚という呼称はそこに由来しています。
たった1年の間に海と川を利用し、30cmを超えるサイズに成長する個体もいるくらいですから、その成長力には凄まじいものがあります。アユのパワーや美味しさの秘密は、並外れた成長力に裏付けられているのかもしれません。

アユは成長してなわばりを持つまでは、水生昆虫などを食べて育ちます。
そのため、放流直後の稚魚のうちは、フライに反応することがあります。
しかし、アユをフライで釣っては絶対にいけません。
アユ命の漁協の方たちにとって、アユを稚魚のうちに釣られることはもってのほかです。そのために、多くの漁協ですフライを含めたすべての毛鉤釣りを禁止にしていた時代があります。
そんな誤解を受けないように、くれぐれも注意してください。

写真のアユは、知人が友釣りで釣った個体を借りて撮影したものです。
産卵の近付いたメスの個体で、女性的なふっくら柔らかな体型をしています。
同時期のオスはヒレが長く伸びて体色が濃くなり、ガリガリに痩せてきます。

これまで、琵琶湖産の稚アユが全国にばら撒かれてきました。
冷水病の蔓延が懸念される中、海産アユと呼ばれる在来個体群の存在が一躍脚光を浴びてきていますが、どうせ養殖をするのなら、その河川固有の系群を利用するのが適切でしょう。それはヤマメやイワナなどの渓流魚の場合とまったく同じです。

日本の淡水魚の至宝、アユの運命は、少なからず人間の手に委ねられているように思えます。

私は誰でしょう……? その2.
怪魚全貌
昨日エントリーした謎の魚(?)、遊泳中を真上から見るとこうなります。

この姿を見ても、まだ成魚を想像できないかもしれません。
得体の知れない深海魚のようであり、透き通った"シラウオ"の仲間のようでもありますが……。

私はアユでした!
少し成長すれば、こんな魚に……。
ここまでくるとはっきりお分かりになるのでは?
そうです、私は"アユ"です。
全国に広く分布して、古くから親しまれてきた魚ですが、稚魚のうちはこんな姿をしているのですね。

ここまでの写真は、今年の春に群馬県水産試験場で飼育中のアユを撮影させていただいたのものです。
遊泳中の稚魚をマクロ撮影してみると、これまでとは全然違った印象に見えたことに驚かされました。。

アユは群馬県の"県の魚"でもありますが、昨今は河川環境の変化に加え"冷水病の蔓延""カワウによる食害"等、思うような放流効果が得られず、アユ釣り自体も低迷しています。

アユ釣りといえばおとりアユを使った"友釣り"です。
その昔、夏になると利根川本流にはアユ釣りの長いサオがズラリと並んで、独特の風景を描いていました。

そんな夏の風物詩が当たり前に見られるように、ぜひとも復活して欲しいものです。

私は誰でしょう……? その1.
怪魚軍団……?何やら妖しい輝きを放つ瞳は、違う世界に棲む生物のような印象を受けます。
フニャフニャとしたボディは、力強さとは無縁な感ですが……実は並外れた成長力を持つ魚の赤ちゃんです。写真の魚たちで体長2僂らいでしょうか。

この魚はいったい何者でしょう?
日本全国に広く分布する淡水魚の稚魚なのですが、皆さんお分かりになるでしょうか?

専門的な知識をお持ちの方には簡単に分かってしまいますが、分からない方はいろいろ調べてみてください。
「へぇ〜〜〜〜〜!」っていう感じがすると思いますよ。

本日はこれから江戸へ出張です。

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