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佐藤成史 DVDフライ図鑑
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渓魚美 その3.
コンディションの良い魚は、見ていて安心できます。 釣れた魚の顔色が悪かったり、気の毒なほど痩せていたりすると、思わず心配になってしまいますから。 その麗しきパールの頬と、凛々しい胸ビレが印象的なヘンリーズフォークのニジマスは、私にとって永遠の憧れです。 ニジマスの場合、真っ赤な頬も素敵ですが、ヤマメにも通じるパールピンクの色合いに、よりいっそうの魅力を感じます。 銀色の素肌に映るそれらの色合いも、光の加減で微妙に変化して、全体を上品に見せてくれますね。 それにしても、薄紅のグラデーションの様子や、破綻のない伸びやかな胸ビレの軟条の美しいこと! 育った環境の素晴らしさが、そのまま容姿に反映されているようです。 |
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渓魚美 その2.
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渓魚美 その1.
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シャロムの森の大イワナ
利根川水系、渡良瀬川支流、黒坂石川源流部・『シャロムの森』を流れる小さな渓で生まれ育った天然イワナです。 全長では33cm前後くらいのサイズだと思うので、大イワナというほどではないかもしれません。しかしこの立派な体躯と力強い尾柄部の筋肉を見ると、個人的にとても嬉しいのです。 この撮影の角度は尾びれを強調しているため、体高や体幅が少しスリムに見えます。しかし実際には、これ以上は望めないほど充実した体型のイワナでした。 シャロムの森は広大な私有地です。現在、その中を流れる自然渓流は管理釣り場として運営・利用されています。 管理釣り場といっても、下流部の一部を除いて放流は一切なく、棲息する魚の主体は野生のイワナとヤマメ。イワナに関してはおそらく生粋の在来集団と思われます。しかもキャッチ&リリース、人数制限有りのレギュレーションです。 このような管理システムを実施してから5年ほど経ちますが、こんな体格の良いイワナが目につくようになったのは、今シーズンになってからです。 これまでは、長さはあっても、体格的に痩せ細って元気のない個体ばかりでした。おそらく、環境に対する生息数や栄養状態がアンバランスだったのでしょう。 すでに山は冬支度を始め、葉を落とした広葉樹の森は、息をひそめながら時を刻んでいます。 シャロムもすでに釣りの盛期を過ぎました。減水した渓は冷たく厳しい季節を迎えて、渓魚たちも休息の時間を欲しがっているかもしれません。 しかし、来春にはさらにパワーアップしたイワナたちが、私たちを楽しませてくれることでしょう。 40cmオーバーの生気漲るイワナと出会えそうな予感……。 |
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アオダイショウ
私、動物は全般的に大好きです。犬、猫だけでなく、ほとんどの動物に親近感を覚えます。 爬虫類も例外ではありません。特にヘビの仲間ではアオダイショウが一番好きです。 一戸建ての家に住む機会があったら、アオダイショウを屋根裏に何匹か飼おうと思っています。名前を呼んで、反応してくれたら可愛いでしょうね。 昔からこのヘビは、ネズミ等をよく食べてくれるので、家の守り神として大切にされてきたそうです。温和な性格で、人間に危害を加えることはまずありません。 アオダイショウとは子供の頃からよく一緒に遊んでいました。匂いもあまりきつくないので、身体に巻きつけても苦にならないし、大きさのわりに締め方も穏やかで、とても友好的なヘビだと思います。 アオダイショウは北海道から九州まで、日本全国に棲んでいます。身体も大きいことから、フィールドで出会う機会がとても多いヘビです。 写真のアオダイショウは北海道で見かけたものですが、珍しく威嚇の姿勢を取っていました。こんなときにうっかり触ると、さすがに噛まれますね。 冷たい渓流を必死に泳いで渡り、日溜りで休息していたところを撫ぜ回したのが気に食わなかったのかもしれません。 この数日でずいぶん寒くなってきました。渓畔林に棲むヘビたちも冬眠に入ったことでしょう。 |
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フジ蔓
蔓(つる)性植物というのは、実に奔放で力強い生き物です。 日本各地でごく普通に見られる「フジ(マメ科)」の仲間も、情け容赦ない蔓性植物の一種。西日本には、蔓の巻きつく方向がフジとは逆の「ヤマフジ」ばかりの地域もあるそうです。 広葉樹が落葉の季節を迎えると、普段は葉に隠れて見えなかった木枝の状態をうかがい知ることができます。そして同時に、フジの蔓が手当たり次第に樹木に巻きついて、縦横無尽に森の中を走る様子もはっきり見ることができます。 蔓に巻きつかれ、それが食い込みつつある木枝はとても苦しそうです。そんな場面を見るにつけ、フジの蔓がまるで征服者のような存在に思えてきます。 ところで、このエクステンドボディ(?)のような形状をしたフジ蔓ですが、いったいどのような過程をへて、こんなふうになったのでしょうか? ヤーンやフロスをきつく捩れば、簡単にこんな形に整形できますが(パラシュートポールもこれで作ることがありますね)、やはり同じ理屈で生じてしまったカタチなのかもしれません。 つまり、何かに巻きついて上方へと伸びていくうちに、芯になっていた幹や枝が枯死。その反動で、余った部分を自分自身で縒りまとめてしまった……のでしょうか。 フジの花は、シーズンの到来を告げる花です。「フジ色」というように、色の名称として使われるくらいですから、誰もがそれと判断できます。 雪代終了前後に咲くことが多いので、雪が多い地域でも、この花が咲くとドライフライの釣りが楽しくなってきますね。 花だけ見ていれば優雅なものですが、他の樹木の幹や枝を絡めて咲き誇る様子までじっくり眺めると、空恐ろしさを感じます。 でも、早くフジの花の咲く季節が来ないかなぁと、半年も先のことを妄想する今日この頃でございます。 |
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夢
秋も深まり、春の渓を懐かしく思える季節になると、ヤマメ釣りの夢をよく見ます。 それは新緑の頃、沢筋に色とりどりの花が咲く季節。 谷間を吹き抜ける風には、水や緑や土の匂いが充満して、思わず息苦しくなってしまいそう。 ザワザワした春の山独特の雰囲気は、とても味わい深いものがあります。 澄んだ流れで盛んにライズするヤマメを見つけました。何だか簡単に釣れそうな気がして、 「これはもらった!」 とばかりにフライを投げ入れるのですが、なかなか食べてくれません。 フライを替えて、もう一度……でもやっぱり、フライの寸前でUターン。 そんなふうに同じことを延々と繰り返すのですが、どんなに頑張っても全然ダメなんです。 そして結局、何も釣れないまま朝を迎えます。 これは、そんな春の渓のイメージフォトです。 ところでこのヤマメ……視線の先にある流下物をあっさり食べてくれるでしょうか? それとも…… 皆さんはどう思われますか? |
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イボタガ(水蝋蛾)の擬態
多くの生物が擬態(mimicry)を使って生きています。 擬態は生物が生き抜くための戦略ですが、自分の体のカタチや模様を他の動物のそれと似せて身を守ったり、その逆に擬態を捕食手段に利用するなど、目的に応じた多くのパターンがあるといわれています。 擬態の実際を見聞きするにつけ、生物同士の関係や知恵に驚かされます。 弱者が強者のふりをしたり、虎の威を借りて攻撃に使ったり……そういえば、似たような生き方してる人間もたくさんいますよね。 ところで、イボタガ(水蝋蛾)という蛾をご存知でしょうか?翅の開長で10cmくらいある巨大な蛾です。 発生時期は何と早春の頃。私は4月の渓流で、水面に半死状態で浮いているところを「なんじゃこれ?」という感じで発見しました。 この翅の模様を見て、皆さんはどんな感想を持たれるでしょうか。 いったい何をモデルに、こんな擬態を演じるようになったのでしょう? 私の場合、第一印象としては猫の顔を連想しました。しかし、この蛾が発生する森の様子を思い浮かべると、フクロウかなと思い直しました。そして目玉だけでなく、絶妙な縞模様が不気味さを誇張しているふうに見えます。 いずれにしろ、イボタガはこの紋様によって捕食者から身を守っているわけです。目玉模様は鳥などの捕食者に見つけられたときの威嚇効果、または致命的な部分への先制攻撃を避ける意味合いもあるのだとか。 それにしても、この蛾の擬態はとても強い主張のように感じます。 まるで「あたしに触らないで、放っておいてよ!」と叫んでいるみたい。 ここまでくると、あまりに目立ち過ぎるような気がしますけど……。それもまた、彼らが生き抜くために選んだ戦略なのでしょうね。 |
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ペアリング
毎年11月初旬になると、群馬県北東部に位置する 『シャロムの森』では、イワナたちの産卵がピークを迎えます。 その様子を見ようと、毎年のようにフィッシュウォッチングに出かけるのですが、今年は少し産卵が遅れ気味。先週末の状態では、色気より食い気のほうが勝っている個体が多い感じを受けました。 イワナの場合、基本的には1尾の強いオスが1尾のメスを独占してペアを作ります。 そしてメスが産卵の瞬間を迎えるまで、オスは片時もメスの側を離れることなく寄り添い、他のオスの侵入を徹底的に拒みます。その間、メスは尾びれと尻ビレを使って産卵床を掘ることに専念します。 ところが、メスが卵を放出する瞬間、それまでメスを独占できなかったオスたちが駆け寄り、実質的には「複数のオス×1尾のメス」による受精が行なわれることが多いようです。 そのほうが血が濃くならなくて良いのかもしれませんが、その瞬間に賭けるオスたちの必死の行動を見ていると、生きていくことの悲哀を感じたりもします。 それにしても、寄り添いながら泳ぐペアの表情は、とても前向きな感じがして素敵ですね。 |