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氷雨に打たれながら
三寒四温の"寒"のほうに大当たり……
春の"ヤリタナゴ退避作業"は、氷雨そぼ降る早朝から行なわれました。 この日は地域の人たち総出で用水路の浚渫作業’堀浚い)が行なわれます。 これは堆積したゴミや泥を取り除き、水路の機能を充分に生かすための大切な作業で、この地域では明治時代から続けられているそうです。 作業は水門を閉じ、一時的な断水状態の中で速やかに進められます。 このとき、干上がった部分に残された個体や、カラスなどに食べられる個体をできるだけ少なくするために、退避作業は行なわれます。 群馬県内に唯一残されたタナゴの棲息地は、そんなきわどい環境の中、多くの人たちの協力によって保護されているのです。 なお、この水路に棲息するヤリタナゴ、マツカサガイ、ホトケドジョウは藤岡市の天然記念物に指定されており、通常は採捕することはできません。 退避作業は藤岡市の許可を受け、職員立ち会いのもとに行なわれる特別な作業です。
この日は前日からかなりの雨量があったため、水路を閉じても水が枯れることがなく、退避作業の意味合いも薄れてしまいました。
ヤリタナゴの資源量はかなり増加・安定してきましたが、水路全体の魚類相を考えると棲息割合が不自然に高く、それはそれで今後の課題になってくるかもしれません。 退避させるべき区間のヤリタナゴを参加者一同で一気に救出。 その直後、地元の皆さんの手による堀浚いも速やかに終了。 しかし水門が開かれる前に、もうひとつ大切な作業が残っています。 それはヤリタナゴが卵を生みつける母貝"マツカサガイ"を、水路の周囲に打ち上げられた泥やゴミの中から探し出しすことです。 クサ〜イ泥の塊に熊手中からし潮干狩りよろしくマツカサガイを見つけ出すわけですが、気温が低いとこの作業はけっこう腰にキマす。 まだその生態が解明されていないマツカサガイ……この貝なしに、ヤリタナゴは生きていくことはできません。 今回は滅多に見られない小さな個体もいくつか見つかりました。 もちろん、すべての貝は計測後、速やかに水路へと戻されます。 前回(昨秋)の退避作業を紹介した記事でも取り上げたように、ここ数年間ヤリタナゴの棲息地一帯は悪化の一途……。 そもそもこうした作業によって個体数を維持していくこと自体、危機的状況にあることを代弁しているようなもの。 そんな状況に追い討ちをかけるように、この地域に圃場整備事業が計画されています。 開発主体は県が担当して今後4年以内に実施されるとか……。 入念な事前協議を行ない、絶滅危機を回避するための対応策を構築していただきたいと強く感じます。 このように前途多難な状況ではありますが、ヤリタナゴの棲息環境をしっかり残して未来に預けることは、今の時代を生きる私たちの義務といえるでしょう。 次回は5月に観察会が行なわれるとのこと。 渓流釣りのハイシーズンとぶつかりますが、今年は何とか時間を作って参加したいと思います。 |
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Comment:
2010/03/09 8:58 AM, 勝っーん wrote:
自然の天敵はやはり人間なのですね。何も知らない、知ろうとしない?
自然目線を持つことを教えられた覚えもないし。
学校教育や生活の中で自然に触れて感じる機会がありませんでした。
特にコンクリートやアスファルトの中でしか生きられない人にとってこれは貴重なご報告です。
2010/03/09 9:47 AM, FUKU wrote:
皆様 雨の中朝早くからお手伝い感謝申し上げます昔から農家の人達が堀浚いや草刈で守ってきた土掘りの農業用水ですが、下流部は開発が進み今回核心
部の田圃の区画整備(圃場整備)が決定しました
行政、地元農家との打ち合わせが急務です これからも皆様のご支援宜しくお願い致します
2010/03/09 8:32 PM, N wrote:
riverwalkerさん今晩は。先日は大変お世話になりました。
寒い一日でしたが、花粉症は幾分楽でしたので、外にいても快適でした(笑)。
マツカサガイは小ぶりな個体も確認出来て、良かったですね。
今回は、完全に水が無くなった訳ではなかったので、作業自体は結構早く終わりましたが、初めて出た年から比べると、対象範囲がかなり狭くなってきた様に感じます。
それに、田圃の区画整理事業が始まるとなると、極めてスポット的な生息範囲に絞られてしまいそうな・・・。
住みやすい環境が、開発されつくした住宅地だけでは無いと思いますが。
2010/03/09 9:02 PM, あま党 wrote:
お疲れさまでした。毎回楽しみながらの作業で子供の頃を思い出しています。
区画整理が決定との事。
生物への影響が最小限になるとよいですね。
2010/03/09 9:03 PM, Kaz-Man wrote:
こんばんは。先日はお疲れ様、そして、お世話になりました。初めて参加させてもらいましたが、冷たい雨が降る中にもかかわらず、
夢中で”ガサガサ”と”潮干狩り(?)”をしてしまいました。
次回(秋?)は都合が合えば息子も連れて参加できればいいなと思います。
2010/03/09 10:02 PM, TAKA-Q wrote:
こんばんわ。先日は家内共々お世話になりました。
振り返ってみれば恐らく初めて経験したであろうガサガサ、とても楽しく作業させていただきました。
絶滅の危機に瀕する生物達を取り巻く諸課題は多々あるようですが、少しでも後生に受け継ぐ一助となれることを期待します。
そして今週末のスクール、よろしくお願いしま〜す!
爆釣Y子もヨロシクとのことです!
2010/03/09 11:18 PM, うるし〜 wrote:
♪外は冬の雨〜ま〜だ止まぬ〜 なんて歌っている余裕はない状況なんですね。後ほどお手紙をいただき、この作業がいかに大事かを知りました。
私が今住んでいる所では見当たらない素掘りの用水路、そこに棲む小動物・・都市開発は不要だとは思いませんが、なんとか共生できたらいいのにと思います。
途中単独行動に走りましたが、またお誘い下さいませ。
2010/03/10 9:24 PM, riverwalkers wrote:
勝っつーんさん、地域にも温度差がありますし、前途多難な印象を受けます。
5月には子供さんを集めて観察会が行なわれます。そうした活動で多くの人たちの関心が集まればいいのですが。
FUKUさん、
年々、素掘りの区間がコンクリートで固められ、生息域が狭くなっていますね。
行政や地元の方たちとの協議、根気のいることですが粘り強く頑張ってください。もちろん、何かのときは目一杯協力させていただきます!
Nくん、
以前の議論にもありましたが、ヤリタナゴを県の天然記念物指定に格上げするなど、希少生物としての存在感をアピールすることも必要かもしれません。
マツカサガイや他の魚種とのセット保存が原則ですが、生物のつながりを理解するのにもよい材料なのですが。
あま党くん、
マツカサガイの救出に、ずいぶん熱中されていたようですね(w
現在の環境でも瀬戸際ですから、今後も目が離せません。
Kaz-Manくん、
次回はぜひご家族で参加してください。
秋のほうが退避作業の対象区間がずっと長くなり、いろいろな魚種が顔を見せてくれますので。
TAKA-Qくん、
奥様はあの後、開眼されたとか……?
ガサガサ魚取りにもコツがあるので、そちらのほうも夫婦開眼してください!
うるし〜、
思わずYOUTUBEで氷雨を聴いてしまいました。
あの水路はまさに奇跡の空間です。
次回は伊勢崎方面の方とご一緒にどーぞ!
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