凍てつく朝に……春のヤリタナゴ退避作業 | SST'S フィールドスケッチ
  • 2020.03.06 Friday
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凍てつく朝に……春のヤリタナゴ退避作業
早朝の水路春は名のみの風の寒さや……
昨日も寒い朝でした。

群馬県内で唯一、ヤリタナゴが生息する藤岡市郊外の農業用水路。
そこでは毎年2回、春と秋にヤリタナゴ退避作業が行なわれています。
水路の管理や使用状況によって生息環境が大きく変わるため、恒常的な絶滅の危機にさらされているヤリタナゴを救出しよう……というのが退避作業の目的。

昨日は地域の人たち総出で水路の掘浚いが行なわれました。
そのため、一時的に水門を閉じる必要があり、少なくとも数時間は水が枯れてしまいます。
そこで断水中にヤリタナゴたちが絶命する前に救出しよう……という作戦。
カワウやサギ類、カラスなど、魚類や小生物を狙う鳥たちとの競争でもあります。

昨秋(11月)は退避作業開始以来の最低採捕数(救出数)を記録し、資源量の減少が懸念されました。
それだけに今回の作業に対する皆さんの意気込みは大きかったのですが……


 ヤリタナゴの未来は……残念なことに、今回も採捕数が伸びません。

しかも採捕されたヤリタナゴは大型個体が多く、いつもなら最も多いはずの昨春生まれの1年魚があまり見られません。
つまり、年齢組成が変化しているのです。

マツカサガイの貝殻さらに、、ヤリタナゴが卵を生みつけるマツカサガイも減少傾向にあるかもしれない……
水の引いた水路にはマツカサガイの貝殻が以前よりも目立ち、その中には若い個体も多く見られました。

水路の中のささやかな生命環……控えめな存在でありながら、重要な役割を担うマツカサガイの生息状況にも変化が訪れているようです。

ヨシノボリーズこちらはマツカサガイのグロキディウム幼生を育てるヨシノボリの仲間。
生息実態のほとんどないホトケドジョウに代わり、グロキディウム幼生の宿主となってマツカサガイの成長を助けています。
それぞれの種間における適正な生息バランスについては未知ですが、命の鎖でつながる生き物たちが共存していることは確認できています。

不安ばかりが顕在化する中、今後は冷静に原因を突き止め、適切に対処していかなければなりません。


作業に参加された皆さん、おつかれさまでした。
そしてヤリタナゴの保護活動に尽力されている地元の皆さん、今回もたいへんお世話になりました。
今後も喜んでお手伝いさせていただきますので、いつでもお気軽に声をかけてください!


注:この水路に棲息するヤリタナゴ、マツカサガイ、ホトケドジョウは藤岡市の天然記念物に指定されており、通常は採捕することはできません。
退避作業は藤岡市の許可を受け、職員立ち会いのもとに行なわれる特別な作業です。


  • 2020.03.06 Friday
  • 00:35
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Comment:
2011/03/07 8:54 AM, FUKU wrote:
参加された皆様に感謝 感謝です。
氷を割っての救出作業、大変ですよね。
地元保護グループとして、タナゴさんの元気な姿が何時までも、観察出来るよう新たな取り組みを行います。
2011/03/07 7:29 PM, あま党 wrote:
お疲れさまでした。
寒い朝になりましたが、童心にかえって大いに楽しめました。
ささやかではありますが今後もお手伝いしていきたいと思います。

”ボトルネック”にならない事祈るのみです。
2011/03/07 9:17 PM, N wrote:
riverwalkerさん今晩は。
昨日はお世話になりました。

朝方は寒かったですが、風も無く良い日に作業が出来て良かったですね。

生物多様性とは言いますが、稀少生物の生息域は、微妙なバランスで崩れてしまいますね。
今回の保護個体の少なさが、危機感を煽ります。
今後は、保護だけでなく、生息環境の保全や整備も考えていかなくてはならないのでしょうね。
2011/03/07 10:49 PM, TAKA-Q wrote:
昨日は家内共々お世話になりました。

捕獲量の減少は心配ですが、地道にこの活動を進めるほかないようですね。

今後も可能な限り参加させていただきま〜す!
2011/03/08 4:12 PM, riverwalkers wrote:
FUKUさん、
最前線で見守られている地元の皆さんでなければ、分からないことはたくさんあるでしょう。
これからも適切な保護対策や管理方法について検討されると同時に、関係各機関へご進言ください。
我々はいつでもお手伝いにうかがいますので!

あま党くん、
マツカサガイ捜索も興味深いですね。
ヤリタナゴたちは、過去に大きなボトルネックを経験している集団だけに、個体数の減少は遺伝的な劣化を招く原因になるかもしれません。

Nくん、
日中の暖かさにはびっくりしました。
もともとは人工の水路といえ、生き物同士が絶妙なバランスを保ちながら、支え合って生きています。
手を加えることなく、放置したままで良好な状態が保たれる環境作りもたいせつですね。

TAKA-Qくん、
今のままでは、何もしないと本当にいなくなってしまいます。
いざというときには頼りにしておりますのでよろしく〜!
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